bokken.io
作成日
2021-02-28
更新日
2021-02-28
author
@bokken_
tag
browser, Chromium

Chromium をビルド・テストする方法とその実行時間の備忘録

概要

趣味でブラウザを作っている延長で、 Chromium をビルドしてテストを走らせて遊んでいる。

その際、ビルド、実行に必要なリンクが各所にあって難しいなと感じたので、この記事にまとめて備忘録としておきたい。

また、あまりビルドやテスト実行時間について紹介されている記事が少ないので、この記事ではその点についても言及する。

目次

  1. 概要
  2. 目次
  3. 環境準備
    1. 環境
    2. 必要なツール
  4. 手順
    1. 開発用のツールを準備をする
      1. フェッチする
      2. 更新する
    2. Chromium のビルドと実行
      1. ビルド設定の生成
      2. Chromium のビルド
      3. Chromium の実行
    3. テストのビルドと実行
      1. ユニットテストのビルド
      2. ユニットテストの実行
      3. Web テスト
      4. Web テストの実行
  5. ビルド・テストの実行速度
    1. ビルド時間
    2. テスト実行時間
  6. おわりに
  7. 参考文献

環境準備

環境

最初に筆者の計算機環境は下記である。

この MacBook Pro を使ってビルドやテストを実行する。

必要なツール

この公式のページ によると Chromium のビルドに必要なツールは下記である。

Xcode がインストールされているかは、下記のコマンドで .sdk ファイルが表示されるかを確認すればよい。

ls `xcode-select -p`/Platforms/MacOSX.platform/Developer/SDKs

加えてインストールしておくと良いのは下記の Homebrew と ccache だ。

ccache を導入しておくと再コンパイル時の時間が短縮できるようになる。それはこの記事に書かれている。

手順

主にこちらの公式サイトに書かれている内容を抜粋してより詳細に手順を説明する。

移行のディレクトリは下記のようになっていることを前提としてすすめる。(変更する場合は PATH の設定などを適宜読み替えていただきたい)

cd ~
mkdir chromium
cd chromium

開発用のツールを準備をする

Chromium 関連の開発をする際には depot_tool というツール群を使うようだ。

この中にはリポジトリをフェッチするときに使う fetch や sync するときに使う gclient 、ビルドに必要な設定ファイル等を生成する gn コマンドが含まれている。

depot_tool は下記のコマンドで clone してくる。

git clone https://chromium.googlesource.com/chromium/tools/depot_tools.git

パスを通す必要があるため、使っているシェルに応じて ~/.bashrc~/.zshrc に下記の一行を追記する。

export PATH="$PATH:$HOME/depot_tools"

追記をしたあとは下記コマンドで、PATH を通した設定ファイルを読み込み直す。

source ~/.zshrc  # zsh を使っているときの例

以上で depot_tool を使うための下準備は完了した。

フェッチする

depot_tool が準備できればようやく Chromium のソースを clone できる。

その際のコマンドは下記である。

fetch chromium

このコマンドにもかなりの時間がかかる。容量が大きいため、テザリング環境や貧弱なネット回線では決して実行しないようにしてほしい。

更新する

リポジトリに更新があった際には下記のコマンドでリポジトリを最新の状態にできる。 fetch のタイミングで下記コマンドも実行されるので fetch して直後は必要がない。

gclient sync

Chromium のビルドと実行

下準備が長かったがようやくビルドができる。

ビルドには、設定ファイルの生成、ビルドの実行といった手順が必要だ。

順番に説明をする。

ビルド設定の生成

まず、 fetch してきた Chromium のディレクトリに移動する。

cd src

次にビルドファイルの生成だが、これには gn というコマンドを使う。下記のようにコマンドを実行するとエディタが立ち上がる。

gn out out/Default

そこに下記のような設定ファイルを書き込む。

is_debug = false
is_component_build = true
symbol_level = 0
dcheck_always_on = true
cc_wrapper= "ccache"
enable_nacl = false

するとビルドに必要なファイル群が out/Default 以下に生成される。

この設定ファイルを作るために参考としたのはこの記事この記事にある公式の設定で、これらの設定でビルド時間や再ビルド時間が短くなるらしい。

ただし、上記の設定はひとまず早くビルドするための設定である。

is_debugfalse にしているため、Debug に必要な情報が取れないなどの弊害がある。

なので、Debug をしたい場合は全面的に設定を見直す必要がある。

Chromium のビルド

上記を終えるとようやくビルドができる。その際、下記スクリプトを bulid_chromium という名前で保存する。 (この公式の文書をもとに作製している)

#!/bin/bash
export CCACHE_CPP2=yes
export CCACHE_SLOPPINESS=time_macros
export PATH=`pwd`/third_party/llvm-build/Release+Asserts/bin:$PATH
ninja -C out/Default chrome

上記のファイルに実行権限をつける。

chmod +x build_chromium

そして実行する。

./build_chromium

これで Chromium がビルドされる。とても長い時間がかかるのと、リソースを持っていかれるため PC を使わない時間帯に実行するとよい。

ビルドにかかる時間についてはビルド時間にかかわる節で述べる。

Chromium の実行

ビルドが終わるとローカル環境で Chromium を実行できる。

.app ファイルも生成されているが、コマンド的には下記のように実行すると Chromium が立ち上がる。

#!/bin/bash
./out/Default/Chromium.app/Contents/MacOS/Chromium

ここまででひとまず、Chromium 自身のビルドは完了だ。

テストのビルドと実行

さて Chromium 本体がビルドできてしまえば、あとは簡単にテストのビルドなども行える。

Chromium プロジェクトのテストにはユニットテストと Web テストがある。

順番に説明する。

ユニットテストのビルド

ユニットテストをビルドするためには下記のコマンドを実行する。

ninja -C out/Default chrome/test:unit_tests

ユニットテストの実行

ユニットテストのビルドが終わったら、ユニットテストは下記のように実行すれば良い。

out/Default/unit_tests --disable-features="MediaRouter"

Checking out and building Chromium for Macにあるように、 "incoming network connections" のダイアログがたくさん出てくるので、それを抑えるために --disable-features="MediaRouter" を指定している。

Web テスト

Testing in Chromium - Web Tests (formerly known as Layout Tests or LayoutTests)を参考に下記のコマンドでテストをビルドする。

#!/bin/bash
autoninja -C out/Default blink_tests

Web テストの実行

上記でテストがビルドできれば、下記コマンド列でテストが実行できる。

#!/bin/bash
strip out/Default/Content\ Shell.app/Contents/MacOS/Content\ Shell
./third_party/blink/tools/run_web_tests.py -t Default

(Content_Shell については strip ./xcodebuild/{Debug,Release}/content_shell.app/Contents/MacOS/content_shell と書いてあるが、現在ではパスが変わっているようである)

上記までの手順で一通りビルド、およびテストの実行ができるようになった。

ビルド・テストの実行速度

さて、最後にビルドやテストにかかった時間を紹介する。

計測方法は今まで紹介してきたコマンド列について time コマンドで計測した出力を掲載する。

ビルド時間

real user sys
Chromium 357m9.637s 2477m45.654s 216m50.804s
ユニットテスト 54m57.304s 389m3.974s 22m42.069s
Web テスト 43m16.608s 308m35.270s 17m8.060s

テスト実行時間

real user sys
ユニットテスト 54m57.304s 389m3.974s 22m42.069s
Web テスト 43m16.608s 308m35.270s 17m8.060s

おわりに

上記の手順や実行時間の例が、どなたかの参考となれば幸いである。

もし間違いや訂正があれば、issue か Twitter アカウントの @bokken_ までご報告いただけると嬉しい。

参考文献

  1. Chromium - The Chromium Projects
  2. Checking out and building Chromium for Mac
  3. GN build configuration - The Chromium Projects
  4. GN Reference
  5. Using CCache on Mac
  6. Testing in Chromium - Running web tests using the content shell
  7. Testing in Chromium - Web Tests (formerly known as Layout Tests or LayoutTests)
  8. 大規模ソフトウェア(Chromium)を手探る 導入・ビルド編 - あさりさんの作業ログ
  9. Chromium を build しよう(libcaca で動く AA なやつを) - Qiita
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